2025.5.10 Venezia
第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館展示「中立点」関連展示
鬼頭健吾「LINES」
蜷川実花 with EiM「INTERSTICE」
ヴェネチアにて開催のご案内


左:鬼頭健吾《LINES》表参道クロッシングパークでの展示 2024年
右:蜷川実花 with EiM 《Within the Breath of Light and Shadow》2025年 京都市京セラ美術館での展示風景より ©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery
この度、anonymous art projectは、2025年5月、イタリア・ヴェネチアにて、鬼頭健吾と蜷川実花 withEiMによる2つの展覧会を開催いたします。本展は、第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館展示「中立点」を応援する独立展示として、anonymous art projectの主催により実施します。ヴェネチア・ビエンナーレは世界最大規模の芸術祭で、隔年で現代美術と現代建築に関する展示が行われます。その開催期間中には世界中の美術・建築関係者、コレクター、メディアがヴェネチアに集まります。その貴重な機会に、日本の現代アートの独創性と多様性を紹介するべく、2つの異なる視点から空間を捉えた展覧会を開催します。
鬼頭健吾は、カラフルなフラフープや彩色された工業素材を用いたインスタレーションで知られ、空間全体をダイナミックに構成する作品を制作してきました。一方、蜷川実花は、写真に始まり、近年ではさまざまな領域の専門家たちにより結成されたクリエイティブチームであるEiM(エイム:Eternity in a Moment)とともに映像やインスタレーションを発表し、人間と自然の関係性を独自の視点で表現し続けています。本展では、2人のアーティストがそれぞれ異なる会場で作品を発表し、ヴェネチアという歴史的都市で、日本の現代アートの新たな可能性を提示します。
本展覧会は、ヴェネチア・ビエンナーレの建築展に集まる国内外の観客に向けて、日本の現代アートの多様性と独自性を発信する貴重な機会となることを目指しています。ぜひご注目ください。
5月10日にはオープニングパーティを蜷川展会場のPalazzo Bollaniにて開催します。L PACK.も来伊しパーティ会場を盛り上げます。ヴェネチアに滞在されている方はぜひご参加ください。
鬼頭健吾「LINES」
鬼頭健吾は、筆のストロークやスプレーによる彩色、光沢のあるラメなどを使用し、絵画作品にレイヤーを重ねて躍動感と拡がりを与えると同時に、フラフープや色を施した工業製品を使い空間に合わせたインスタレーションを展開することで国内外から高い評価を受けています。彼の活躍とともにそのバリエーションは増え続けていますが、どのような設置場所においても彼のアイディアと手によって作品には色彩が満ち溢れ、時間に合わせて光が介入する空間が生成されています。本展では、ドゥカーレ宮殿とマルチャーナ図書館に挟まれた小広場に位置する、ヴェネチア国立考古学博物館の入口の再オープンに併せ、その中庭を舞台にして鬼頭の代表的なシリーズ「LINES」を展開します。16世紀以降にスカモッツィによって古典主義建築として設計され、明解に水平線と垂直線で区分された建物の中庭で、鬼頭の作品は古代ローマ時代の美術館の所蔵品ともスムーズに共存します。来場者は歴史的建築と現代アートが交差する空間で色彩と光が織りなす新たな体験をし、そしてこの場所で真正のローマ彫刻と、ビザンティン建築が秘めた装飾性、そして古典主義とモダン以降の展開とを一挙に経験することができます。

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左:鬼頭健吾《LINES》アート・デュッセルドルフでの展示 2024年 右:会場画像
鬼頭健吾「LINES」
会期:2025年5月10日(土) - 9月28日(日) ※予定
関係者向け内覧期間:5月8日(木) ‒ 5月9日(金) ※予定
作家滞在予定(取材可能日):5月5日(月) ‒ 5月11日(日)
開館時間/休館日:10:00-17:00
会場:ヴェネチア国立考古学博物館 中庭と展示室内 (P.za San Marco, 17/52, Venezia, Italy)
観覧料:博物館入館料 30ユーロ (中庭は無料、展示室内は有料)
主催:anonymous art project
キュレーション:拝戸雅彦

アーティスト:鬼頭健吾 (きとう けんご)
1977年愛知県生まれ。カラフルなフラフープや布、工業製品を用いたインスタ
レーションで知られ、国内外の展覧会で活躍。2008-2009年にニューヨーク、2
010-2012年にはベルリンで文化庁新進芸術家海外研修員として活動。近年の主
な個展に「Lines 鬼頭健吾展」(2022年、神奈川芸術劇場)、「Full Lightness」
(2020年、京都市京セラ美術館) など。現在、京都芸術大学大学院教授。

キュレーター:拝戸雅彦
1964年名古屋市生まれ。1992年から2008年まで愛知県美術館学芸員として勤務。主な展
覧会に「イタリア美術:1945-1995」(1997)、「ファウスト・メロッティ」(1999)、「戸
谷成雄-森の襞の行方」(2001) など。あいちトリエンナーレの事業を立ち上げた2008年か
らは、国際芸術祭に勤務。2010年、2013年、2016年にチーフキュレータとして関わった。
2017年からは、愛知県美術館企画業務課長と副館長。2021年に館長に就任(2024年3月ま
で)。現在はフリーランスのキュレーターとして活動している。
蜷川実花 with EiM「INTERSTICE」
「蜷川実花 with EiM「INTERSTICE」」は、日本を代表する女性写真家である蜷川実花と、蜷川が2022年からコレクティブの一員として活動するEiM (Eternity in a moment:データサイエンティストの宮田裕章、プロダクションデザイナーのENZO、クリエイティブディレクターの桑名功、照明監督の上野甲子朗らで結成された) によるヨーロッパでの初個展です。蜷川の写真に登場する花には、生花と同じくらいの頻度で、造花が登場します。化学繊維やプラスチックで作られた造花は、ファインアートの主たる素材に選ばれたことはありません。しかし、例えば街角の聖人像や、墓地で死者に手向けられる花には、世界共通で造花が用いられることがあるように、長く変わることのない祝福や弔いの気持ちを伝える時に、わたしたちは造花を用います。古典的な芸術が、自然の模倣から出発したことを疑う人がないように、同じく忠実に自然を模倣することで製造された造花を、蜷川は自身の被写体とするのです。本展にも、数多くの花が登場しますが、その中には実物の花と隣り合って、造花も紛れています。芸術的な表現の中において、自然物と人工物を分けることは果たして意味を持つのでしょうか?こうした疑問から出発し、蜷川は手付かずの自然や原生林を賛美するのではなく、それらの「毒」を取り込みつつ作品化しようと試みます。また本展冒頭には、自然石としてのクリスタルと、石油由来のプラスチック製品や樹脂により成形されたクリスタルの模倣物が混じり合う光の彫刻《Within the Breath of Light and Shadow》が登場します。展示室の光もまた、自然光と人工光が融合します。私たちは今、世界中の至る所に裂け目と断絶を見つけ、他者と自己の間の線引きを明確にすることで安心を得るような社会に生きています。その中にあって、本展は、私たちが抱く断絶と孤立の世界の間隙をぬって、他者と混じり合いながらも、それぞれに鮮やかな光と色彩を放つ新たな世界を垣間見せてくれることでしょう。




左:《Within the Breath of Light and Shadow》ヴェネチアでの展示イメージ
左中:《Within the Breath of Light and Shadow》2025年京都市京セラ美術館での展示風景より ©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery
右中:《Remnants of Life》ヴェネチアでの展示イメージ 右:《Dreams of the beyond in the abyss》ヴェネチアでの展示イメージ
蜷川実花 with EiM「INTERSTICE」
会期:2025年5月10日(土) - 7月21日(月・祝)
関係者向け内覧期間:5月5日(月) ‒ 5月9日(金) ※予定
作家滞在予定(取材可能日):蜷川実花/宮田裕章 5月10日、11日
キュレーター滞在予定: 5月5日(月) -5月9日(金)
開館時間:11:00-19:00
休館日:月曜日 (5月11日と7月21日を除く)
会場:Palazzo Bollani (Castello 3647, Venezia, Italy)
観覧料:無料
主催:anonymous art project
キュレーション:木村絵理子 (弘前れんが倉庫美術館館長)
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Palazzo Bollani参考画像(Palazzo Bollaniウェブサイトより)
アーティスト:蜷川実花 (にながわ みか)
写真家、映画監督
写真を中心として、映画、映像、空間インスタレーションも多く手掛け
る。クリエイティブチーム「EiM(エイム)」の一員としても活動中。
木村伊兵衛写真賞ほか数々受賞。2010年ニューヨークの Rizzoliから写
真集を出版。また、『ヘルタースケルター』(2012年)、『Diner ダイナ
ー』(2019年)をはじめ長編映画を5作、Netflixオリジナルドラマ『FOL
LOWERS』(2020年)を監督。これまでに写真集120冊以上を刊行、個
展150回以上、グループ展130回以上と国内外で精力的に作品発表を続
ける。個展「蜷川実花展:Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」(T
OKYO NODE、2023年12月-2024年2月)は、25万人を動員。2025
年1月11日より、京都市京セラ美術館にて「蜷川実花展 with EiM:彼
岸の光、此岸の影」を開催。
最新の写真集に『Eternity in a Moment vol.1-3』(Akio Nagasawa P
ublishing & Case Publishing、2024年)がある。
https://mikaninagawa.com

アーティスト:EiM(エイム:Eternity in a Moment)
写真家・映画監督の蜷川実花と、データサイエンティストの宮田裕章、プロダクションデザイナーの ENZO、クリエイティブ
ディレクターの桑名功、照明監督の上野甲子朗らで結成されたクリエイティブチーム。プロジェクトごとに多様なチームを編
成しながら活動する。近年の主な活動に、「深淵に宿る彼岸の夢」(森の芸術祭 晴れの国・岡山、満奇洞、2024年)、「蜷川実
花展 with EiM:光の中で影と踊る」(南城美術館、2024年)、「蜷川実花展 with EiM:彼岸の光、此岸の影」(京都市京セラ美
術館、2025年)などがある。




キュレーター:木村絵理子
キュレーター、弘前れんが倉庫美術館館長。2023年より同館副館長兼学芸
統括を務め、2024年より現職。2000年より横浜美術館に勤務、2012年よ
り2023年まで主任学芸員。2005年から2023年まで横浜トリエンナーレの
キュレトリアル・チームに携わり、2020年の第7回展では企画統括を務め
た。主な展覧会企画に「蜷川実花with EiM:儚くも煌めく境界 Where Hum
anity Meets Nature」(2024年、弘前れんが倉庫美術館)など多数。
多摩美術大学・金沢美術工芸大学客員教授、美術評論家連盟会員。

anonymous art project
アートプロジェクトとして2023年に発足。OMOTESANDO CROSSING PARKをはじめ、ZeroBase神宮前(原宿)、
anonymous studio(名古屋)、anonymous bldg.(表参道)での作品展示や、ACK Art Collaboration Kyotoでのアワード
など、若手アーティストたちの活動支援や、美術館学芸員の海外調査・研究派遣事業など、日本の現代アートの振興に寄与する活動を行っている。
お問い合わせ先
展示に関するお問合せ anonymous art project (担当:小幡) 03-6550-9965 info@anonymous-collection.jp
広報に関するお問合せ 株式会社いろいろ (市川・熊野) press@iroiroiroiro.jp